# 特別寄稿

SPECIAL INTERVIEW スタンフォード式 最高の睡眠 眠りの新常識2024

医師・医学博士
⻄野 精治
Nishino Seiji

スタンフォード大学医学部精神科教授、同大学睡眠生体リズム研究所所長。 医師、医学博士。 大阪府堺市杏和会阪南病院で研修医を務め、大阪医科大学大学院から早石修ERATOプロジェクトに派遣され、1987年スタンフォード大学に留学。 突然眠りに落ちてしまう過眠症「ナルコレプシー」の原因究明に全力を注ぐ。

With Probiotic Project by Yakult
この10年ほど、日本でも睡眠への関心が高くなっています。世界的に見ると、日本の睡眠偏差値は最低レベルだといわれますが、この理由はどこにあるのでしょうか?
西野
調査の仕方によって数値は異なりますが、どんな調査でも日本、アジアは低い傾向があります。それから、欧米では女性の方が長く寝る国が多いのに対して、インド、韓国、日本では女性の方が短い。動物での性差は認められませんから、やはり文化的、社会的な背景があると思われます。日本の場合は、高度成長時代、睡眠時間を削って働くことが、ある種の美徳という価値観があったのかもしれません。これを最近まで引きずってきたことが理由かもしれませんね。
研究者の間では睡眠不足ではなく「睡眠負債」という言葉が使われるそうですね。その意味について教えていただけますか?
西野
睡眠負債とは、慢性の睡眠不足が知らないうちに積みあがって、簡単には回復できない状態になることです。放置しておくと身も心も破綻し、パフォーマンスも下がり、生活上の不都合も出てきます。さらに疾患にかかる人の割合も高まるという諸々の現象を、借金になぞらえて、睡眠負債といっています。では、睡眠預金ができるかといえば、残念ながらできません。実験の結果、何時間寝てもいいという状況で数週間過ごすと、体が必要とする時間以上は眠れなくなることがわかっています。
睡眠負債の、健康や日常生活への影響には、どんなものがありますか?
西野
2000年代初期、アメリカのメディアで話題になったのが「女性は、睡眠時間が短い人ほど太る」という研究論文です。寝ないとなぜ太るかといいますと、通常は、脂肪細胞から摂食を抑制するホルモンが出ますが、それが寝ないとはたらかないというわけです。ほかにも、不適切な睡眠時間は、免疫機能が低下するため、疾病に対する罹患率に影響があると推測されます。
良い睡眠を得るために夜の過ごし方の中で、何か工夫できることはあるでしょうか?
西野
室内の蛍光灯の短い波長、いわゆる「ブルーライト」ですが、これは覚醒刺激になります。太陽光にも含まれますから、昼間は浴びないとダメなんですが、夜に浴びると眠気をもよおすメラトニンの分泌合成を抑えてしまいます。ただ、スマホぐらいであれば、最近のものはブルーライトもカットされているので、そんなに気にする必要はありません。むしろスマホは、メールをしたり、Webサイトを見たりと、頭を興奮させることが良くないんですね。良い眠りのためには、脳のスイッチも切るようにしましょう。
眠れないときに、なんとなく横になって「ボーッとする」ことがありますが、これでも睡眠の効果はもたらされるのでしょうか?
西野
体の休息という意味では、もちろん良いことですが、睡眠とは別物だと考えてください。1950年代までは、睡眠の役割は休息ぐらいに考えられていました。しかし、現在はいろいろなことがわかってきています。代表例がレム睡眠※1の発見です。寝ている間に、記憶の定着や整理が行われていることがわかったのです。それから成長ホルモンの分泌ですが、これは大人も子どもも、入眠直後の深いノンレム睡眠※2時に放出されます。これにより体の修復をし、免疫機能も回復させます。 また脳は、体の中で一番活発な臓器です。一日はたらくと、脳に老廃物が溜まるんですね。脳にはリンパがありませんが、脳脊髄液という液体、これが脳の中を洗い流すことが最近わかってきました。いわば脳のデトックスです。寝ている間は起きているときの数倍、この活性が上がります。睡眠は起きているときにはできない、脳と体のメンテナンスだともいえるのです。
では睡眠の質を上げるには、どのようなことに気をつければいいでしょう。先生が提唱される最高の睡眠のための「黄金の90分」について教えてください。
西野
睡眠の質というと定義が難しいのですが、適切な睡眠が何であるかはわかってきました。まず就床から10分程度で入眠し、最初に深いノンレム睡眠がでて、これが約90分続きます。その後、短いレム睡眠がやってきますが、これを一つの周期として、明け方まで4回から5回繰り返す。明け方は、深い睡眠がでてこない代わりに、レム睡眠が長くなります。もちろん、どのステージも大事ですが、睡眠の多くの役割は、冒頭部分である90分の深いノンレム睡眠の影響が大きいのです。適切な睡眠であれば、目覚めもスッキリして気分も良く、意欲も出てくるというわけです。
「黄金の90分」のために、私たちが普段取り入れやすいルーティーンなどはありますか?
西野
日本人ですから、入浴という習慣を利用するのもいいですね。40度のお風呂に15分ぐらい入ると深部体温が0.5度ぐらい上がります。それが元に戻るまでに90分ぐらいかかりますが、90分を過ぎると、入浴しないときに比べて深部体温が下がりはじめます。その頃合いでベッドに入ると、寝つきがよくなり、深い睡眠がとれます。これは実験でも実証されています。
ヤクルトでは腸とストレスの関係について研究を進めており、乳酸菌の知られざる機能が解明されるなかで、睡眠に対する影響もわかってきました。いわゆる「脳腸相関」ですが、これらの研究の広がりについて、先生のご意見をお聞かせください。
西野
脳腸相関というのは、脳と腸が互いに信号を送り合っているという考え方ですね。脳の中にはいろんな神経伝達物質がありますが、たとえば「セロトニン」や「VIP」といったアミンやペプチドという物質。これは脳に存在しますが、腸にも同じく存在するということもあって、腸は脳の神経伝達に近いか、そのもとになっていると考えられています。以前から睡眠だけでなく、脳機能と腸内環境は関連していることはわかっていました。腸をすこやかな状態に導くことで、睡眠も含めた脳機能を改善するということですね。
先生は産官学連携のご活動も多くされていますが、今後成し遂げたいことはありますか?
西野
今、シフトワーカー※3のウェルビーイングを高めるプロジェクトに取り組んでいます。実は、就業人口の約3割がシフトワークに従事しています。今後、病院や消防など、エッセンシャルワーカーが極端に減るという予測もありますから、避けては通れない問題です。睡眠学の叡智を駆使して、人にも企業にも良い働き方を提案できればと考えています。
※1 閉じたまぶたの下で眼球がきょろきょろ動いている急速眼球運動(rapid eye movement :REM)を伴う睡眠であることから名づけられ、身体は休息した状態だが、脳の活動は起きている状態に近く、記憶の整理などを行っていると考えられている
※2 レム睡眠ではない眠りという意味で、脳が休息状態で眠りの深さによって3段階または4段階に分類される
※3 通常勤務する日中の時間帯以外の時間に交代勤務を行う労働をする人
with乳酸菌プロジェクトとは?
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With Probiotic Project by Yakult

with乳酸菌プロジェクト あなたの新しい健康生活を応援

いま、新しい生活様式が始まっています。私たちは、乳酸菌 シロタ株を通じて、皆さんの健やかな毎日を応援する「with乳酸菌プロジェクト」サイトを開設しました。現代の各分野で活躍するプロフェッショナルと健康へのこだわりをご紹介、さらにこのプロジェクトに共感された方の中からモニターを募集します。乳酸菌から広がるたくさんの笑顔に出会いたい!さあ、あなたもぜひご参加ください。

応援する製品

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お通じ改善 ヤクルト400W(機能性表示食品)

「ヤクルト400W」は、1本(80ml)に「乳酸菌 シロタ株」を400億個とガラクトオリゴ糖
5.0gがWで含まれている機能性表示食品です。

届出表示:本品には生きたまま腸内に到達する乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)とガラクトオリゴ糖が含まれます。 乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)とガラクトオリゴ糖には、良い菌(乳酸菌、ビフィズス菌)を増やして腸内の環境を改善し、お通じを改善する機能があることが報告されています。

・食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
・本品は機能性表示食品です。特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。
・本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。

詳しくはこちら
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睡眠の質向上・ストレス緩和|腸内環境改善 Yakult(ヤクルト)1000(機能性表示食品)

「Yakult1000」は、1本(100ml)に「乳酸菌 シロタ株」を1,000億個含んだ機能性表示食品です。

届出表示:本品には乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)が含まれるので、一時的な精神的ストレスがかかる状況でのストレスをやわらげ、また、睡眠の質(眠りの深さ、すっきりとした目覚め)を高める機能があります。さらに、乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)には、腸内環境を改善する機能があることが報告されています。

・食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
・本品は機能性表示食品です。特定保健用食品と異なり、消費者庁長官による個別審査を受けたものではありません。
・本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。

詳しくはこちら
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腸内環境改善 ヤクルト400LT(機能性表示食品)

「ヤクルト400LT」は、1本(80ml)に「乳酸菌 シロタ株」を400億個が含まれている特定保健用食品です。カロリーが気になる方にカロリー30%カット(ヤクルト400との比較)、甘さひかえめです。

許可表示:生きたまま腸内に到達する乳酸菌 シロタ株(L.カゼイ YIT 9029)の働きで、良い菌を増やし悪い菌を減らして、腸内の環境を改善し、おなかの調子を整えます。

・食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。

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