大会をとおして「頑張ってきてよかったな」「努力は本当に報われるんだな」と感じられて、最後のレースが終わると涙が溢れてきました。丸1年延期になったからといって、当初はオリンピックを目指す気持ちまでにはなれませんでした。同年の日本選手権はオリンピックへの切符をかけた試合でしたが、どんな順位であっても「ここまで戻ってこられたことに喜びを感じて泳ごう」と、純粋にその気持ちだけだったんです。五輪出場が決まったときは水泳の神様が微笑んでくれたと思いました。

白血病が発覚したのは、バタフライで世界ランク1位になって自信をつけた矢先、私は18歳でした。闘病中は、早く戻りたいと焦る気持ちもあって、退院後はすぐに体を動かしはじめました。体を動かすと、だんだん心も元気になっていくんですね。そしてついに、プールに入ることができたときは言葉に表せないくらいうれしくて。水の感触がとても気持ちよかったことを覚えています。

泳げるようになった喜びと同時に、競技者として勝てないことへの悔しさ、虚しさを感じるようになりました。小さい頃からずっと「泳ぐこと自体がとにかく楽しい」としか思わなかったのですが、泳げるようになったら、今は誰にも勝てないという現実がありました。闘病を経て、そういった不安に揺れる心の弱さを思い知った気がします。

「どうしてうまくいかないんだろう」「自分はツイてないな」と思うことも、もちろんあるんです。でもそれがいつまでも続くわけではないし、またきっといいことがある。闘病中、苦しかったときに主治医の先生から「出口の無いトンネルはありません」という言葉をかけていただきました。その言葉は、今もずっと心の中にあります。

体調がよくないなら無理をしないこと、スランプのときはスランプだと思わないように気持ちを整理することが一番ですね。それから、しっかり湯船につかること。必ず入浴剤を入れますが、疲労回復に効果があるとされている炭酸泉をつくるタブレットを使っています。睡眠も大事にしていて、多い日で10時間、少なくても7時間は寝るようにしています。合宿先や遠征先には自分専用のマットレスを持参することもありますよ。

私にとって、夜に飲むことが毎日のルーティーンになっています。「ミルミル」は家族が大好きでずっと飲んで育ってきましたから、CM出演させていただいたのはいい思い出ですね。これからも「ヤクルト習慣」を続けていきたいと思っています。